前ページのあらすじ
2026年の 4 月末に,
先端モデルのAIが東大入試の数学で
満点を獲得したことを伝える下記のニュースが,
世間を騒がせました。


素晴らしい進歩だと思います。
しかし,最先端AIの数学推論能力が十分に高まったとしても,
私たちが普段使っているAIもそうだと
盲信するのは危険です。
筆者は1年前(2025年 5 月)に,
無料AIの数学推論能力の現状を調査し,
と結論づけました。
その結論は今でも現状を正しく表しているのか,
それともこの1年で大きく変わったのか。
先述のニュース記事が出たことで,
速やかに再調査を行う必要を感じました。
このページでは,当記事の検証に参加していただく
チャットAIたちの紹介と,
検証ルールの確認を行います。
早く具体的な検証内容を確認したい方は
次ページにお進みください。
参加選手(AI)の選定基準
今回の検証の趣旨は,
最先端AIが東大入試の数学で
満点を取るほどに進化したというニュースを受けて,
1年前に調べた無料AIの数学推論能力が
今でも未熟なのかどうかを確認する
という程度のものです。
正直なところ,それほど本格的な調査にする気は
ありませんでした。
AIたちに出す問題も1年前と同じものです。
調査対象にするAIについても,
本格調査であれば改めてしっかり探すところですが,
簡易調査ですので,
基本的に1年前と同じ顔ぶれにしました。
1年前の調査時のAI選定基準については,
1年前の記事をご覧ください。
(下記のブロクカードからお飛びいただけます)
参加選手紹介
選手一覧
それでは,参加選手の入場です。
| 選手名 | サービス名 | 熟考機能 | 提供元 |
|---|---|---|---|
| ChatGPT-N | ChatGPT | OFF | OpenAI |
| ChatGPT-T | ON | ||
| Copilot-N | Copilot | OFF | Microsoft |
| Copilot-T | ON | ||
| Gemini-N | Gemini | OFF | |
| Gemini-T | ON | ||
| Perplexity-N | Perplexity | なし | Perplexity AI |
| Claude-N | Claude | なし | Anthropic |
| Grok-N | Grok | なし | xAI |
| DeepSeek-N | DeepSeek | OFF | DeepSeek |
| DeepSeek-T | ON | ||
| MathGPT-N | MathGPT | なし | 詳細不明 |
以上,総勢12選手になります。
- 選手名(参加AI名)は,当記事独自の呼称です。
選手プロフィール
ChatGPT(チャットジーピーティー)
基本情報
熟考機能
熟考機能をオフにしたものを ChatGPT-N ,
オンにしたものを ChatGPT-T としてご参加いただきます。
使用バージョン
回答が表示された状態で回答を再生成するボタンに
マウスカーソルを合わせると,
その回答を生成した ChatGPT のバージョンが確認できます。
それによると,熟考機能オフでは「GPT-5.3」,
熟考機能オンでは「GPT-5.4 Thinking Mini」
となるようでした。
採点用の回答を採取したのは 2026年 5 月上旬です。
その後ほどなく「GPT-5.5」がリリースされましたが,
そちらは使用していません。
Copilot(コパイロット)
基本情報
熟考機能
熟考機能をオフにしたものを Copilot-N ,
オンにしたものを Copilot-T としてご参加いただきます。
使用バージョン
残念ながらバージョンは不明です。
質問入力画面には,バージョン情報らしき表示は
見当たりません。
自己紹介を求める質問をしてみましたが,
バージョン名は非公開との回答でした。
Gemini(ジェミニ)
基本情報
熟考機能
採点用の回答を採取してから当記事執筆までの間に
仕様が変わりました。
本検証は,少し古い仕様で行いました。
下記も古い仕様に基づくものです。
質問入力欄の右端にあるプルダウンメニュー(選択リスト)で,
回答モードを選択できます。
採点用の回答を採取した時点では,
選択肢は「高速モード」「思考モード」「Pro」でした。
「Pro」が数学に向いているらしいので,
「高速モード」を熟考機能オフと見なして Gemini-N ,
「Pro」を熟考機能オンと見なして Gemini-T と定義し,
それぞれご参加いただきます。
使用バージョン
上述のプルダウンメニュー周辺の記載等から,
「Pro」が「Gemini 3.1 Pro」であることは確かだと思います。
残りの2つに自己紹介を求めてみると,
少し意外な回答でした。
- 「高速モード」… Gemini 1.5 Flash
- 「思考モード」… Gemini 3 Flash
思考モードはともかく,高速モードは古すぎません?
1年前の検証で使ったのが 2.0 や 2.5 だったというのに。
不思議。
Perplexity(パープレキシティ)
基本情報
熟考機能
1年前の検証時は,1日3回という厳しい制限ながらも
熟考機能に相当するものが使えていたのですが,
提供されなくなったようです。
よって,Perplexity-N のみのご参加となります。
使用バージョン
残念ながらバージョンは不明です。
質問入力画面には,バージョン情報らしき表示は
見当たりません。
自己紹介を求める質問をしてみましたが,
バージョン名は非公開との回答でした。
Claude(クロード)
基本情報
熟考機能・使用バージョン
無料で使えるバージョンは
「Haiku 4.5」と「Sonnet 4.6」の2つでした。
1年前は「3.7 Sonnet」であり,
Haiku は軽量・高速モデルとのことなので,
Haiku を参戦させる意義は乏しそうに思えました。
1年前と同様,熟考機能に当たるものは
無料では使えないようですので,
「Sonnet 4.6」を Claude-N とし,
1モデルのみご参加いただきます。
その後,熟考機能が追加された
正式採点対象にする回答の採取時期を過ぎてから,
明示的に長考させる機能が追加されました。
これが回答の採取時期に間に合っていれば,
Claude-T としてご参加いただけたので少し残念です。
ただ,当記事の総合成績発表ページでは,
参考記録として採点結果を掲載しています。
Grok(グロック)
基本情報
熟考機能
1年前は,明示的に熟考させることができていたのですが,
今は「Fast」というモードしか選択できなくなっています。
その状態を Grok-N とし,
1モデルのみご参加いただきます。
これを Grok-N と呼んでよいかは疑問が残るが
「-N」は,基本的には長考しないバージョンに
付けている記号です。
しかし,今回の Grok-N は結構長考します。
数十秒考えることはざらにありますし,
重めの電子計算処理を要する質問を出すと,
数分間考え込むこともありました。
これを「-N」に分類するのはどうかと思いますが,
「Fast」というモードで動作させるにもかかわらず
「-T」に分類するのも抵抗があるので,
目をつぶることにしました。
使用バージョン
Grok 本人に尋ねてみると,
「Grok 4」との回答でした。
DeepSeek(ディープシーク)
基本情報
熟考機能
熟考機能をオフにしたものを DeepSeek-N ,
オンにしたものを DeepSeek-T としてご参加いただきます。
使用バージョン
DeepSeek 自身にバージョン名を尋ねてみました。
DeepSeek-N は「DeepSeek-V3(最新版)」,
DeepSeek-T は「DeepSeek-V3 をベースにした最新モデル」
(R1 の技術も一部統合)という回答でした。
1年前にも見られたバージョン名ですが,
中身は改良されているのでしょうね。
MathGPT(マスジーピーティー)
基本情報
熟考機能
1年前は明示的に熟考させる機能があったのですが
提供されなくなったようです。
よって, MathGPT-N のみのご参加となります。
使用バージョン
質問入力画面には,バージョン情報らしきものは見当たらず。
${}$MathGPT 自身にバージョン名を尋ねてみると,
「私は MathGPT です」と答えるだけで,
バージョン名は教えてくれませんでした。
ご参加いただくべきだったAI
基本的には1年前の前回検証と
同じAIにご参加いただく方針だったため,
以上の顔ぶれになりましたが,
参加していただくべきだったなと
後悔したAIが1つありました。
(実際には不参加なので折りたたみ)
検証のルール
前回と比較するための検証ですので,
検証方針は前回と同様です。
概要のみ,以下に列挙します。
詳しくは,1年前の記事をご覧ください。
(下のカードをクリックすると,該当箇所に飛べます。)
次ページの内容
次ページからはいよいよ,
筆者が勝手に巻き込んだAIたちに
数学に関する具体的な質問を投じ,
回答の正確性や分かりやすさを評価していきます。
1年前と比較してどれだけ進歩したかに
ご注目いただければと思います。