前ページまでのあらすじ
無料AIたちの数学推論能力について,
1年前に行った検証の結果と
比較するための再検証を行っています。
問3まで終了し,残り2問です。
以下に述べる問4は,
人間ならそうそう間違えないような愚問なのですが,
1年前は高速モデル (-N) がやたらと苦戦した問いです。
1年たった今,AIたちも本問を
愚問として一蹴できるようになったのでしょうか?
問4
質問内容
問4は,連続関数のグラフに関する質問です。
2つの連続な単調減少関数のグラフの共有点は,
最大でも1つであるという主張は正しいですか?
用語について
関数の「単調減少」は高校数学Ⅱ,
関数の「連続」は高校数学Ⅲで学ぶ内容ですが,
深い理解が必要な質問ではありません。
この程度の理解で十分ですので,極端なことを言えば,
この質問に正しく答えるだけなら
中学生でも可能かもしれません。
質問の意味
例えば,次の図をご覧ください。

座標平面上に2つの曲線がありますね。
これらが関数の曲線です。
どちらのグラフも,途切れている部分はなく,
どの部分においても右下がりなので,
連続な単調減少関数のグラフです。
そして,この図を見る限り,
2つの曲線は1点で交わっていますね。
つまり,共有点が1つということです。
そこで,問4の質問です。
小難しい質問に見えますが,上記のことを押さえれば,
中学生でも十分考えられる問題だと思います。
詳しくはサブ記事で
問4に関する説明や各AIからの回答,
および採点結果については,
下記のサブ記事をご覧ください。
問4 採点結果
各AIの得点
問4における各AIの得点は
次のようになりました。(※10点満点)
【今回の結果】
| 参加AI名 | 問4の得点 |
|---|---|
| ChatGPT-T | 10点 |
| Copilot-N | 10点 |
| Copilot-T | 10点 |
| Gemini-T | 10点 |
| MathGPT-N | 10点 |
| DeepSeek-N | 8.5点 |
| Claude-N | 6.5点 |
| DeepSeek-T | 6.5点 |
| Grok-N | 4.5点 |
| ChatGPT-N | 3点 |
| Perplexity-N | 3点 |
| Gemini-N | 2.5点 |
【1年前の結果】(比較用)
参加AI名 問4の得点 ChatGPT-T 10点 DeepSeek-T 10点 MathGPT-T 10点 Gemini-T 9点 Perplexity-T 9点 Grok-T 8点 Copilot-N 5.5点 Claude-N 4点 Copilot-T 3点 Gemini-N 3点 Grok-N 3点 DeepSeek-N 2.5点 MathGPT-N 2.5点 Perplexity-N 2点 ChatGPT-N 1.5点
「サービス名-N」は熟考機能オフ,
「サービス名-T」は熟考機能オンです。
より正確な意味については,
当記事の2ページ目をご覧ください。
平均点
問4の平均点は次の通りです。
| 今回 | 1年前 | |
|---|---|---|
| 全参加AIの平均点 | 7.04 点 | 5.53 点 |
| 高速モデル (-N) の平均点 | 6.00 点 | 3.00 点 |
| 熟考モデル (-T) の平均点 | 9.13 点 | 8.43 点 |
問4 総評・所感
熟考モデル (-T) の方が成績が良い傾向は継続
1年前の検証では,高速モデル (-N) と熟考モデル (-T) で
最も平均点の差が大きかったのが問4でした。
人間なら相当油断しない限り間違えないこの愚問で,
1年前の高速モデルはまさかの全滅でしたからね。
今年はさすがにそこまで極端ではありませんでしたが,
高速モデルは取りこぼしが目立ち,
熟考モデルは安定している
という傾向は健在と言ってよさそうです。
親切心があだになっている?
この問いはもう易しすぎるかと思ったが
最初の質問に「正しい」(不正解)と答えてしまったAIは,
1年前は15モデル中9モデルもありましたが,
今回は12モデル中1モデルだけ( ChatGPT-N )でした。
筆者は今回,問4の質問文をほぼ同時に全AIに投じ,
各AIの回答の冒頭部分だけをざっと確認した時点では,
この問いはもう易しすぎるかな
と思いました。
誰も結論を間違えていないように見えたからです。
しかし,細かく読んでみると,
何かしらおかしなことを言っている回答の方が多いのです。
AIたちの失点パターン
問4で満点ではなかったAIたちの失点理由の多くは,
次のいずれかでした。
- 「狭義単調減少」と「広義単調減少」の違いに
言及した末のミス。 - 折れ線の例を出そうとして失敗。
- 関数に条件を付ければ問4の主張が成立するとしたが,
条件や説明が不正。
ここでは詳細は述べませんが,全体として,
丁寧に説明しようと親切心を出したら
ボロが出たというパターンが多かったように思います。
特に Grok-N は,問4自体には完璧に答えており,
余計なことを言わなければ満点もありえたのですが。
質問者に寄り添い,
問4の主張に一理あるとすれば
と一段深く考えた末に間違ってしまったように感じました。
その心意気は素晴らしいですが,
今回はあだになってしまったでしょうか。
即答モードだと
愚問相手でも正確性を欠くAIが多い
前述の通り,問4は,
人間ならば油断しない限り間違えない愚問です。
しかも,一度は完全に間違えても,
その後の対応がまともなら3点程度得られるという,
極めて甘い採点基準です。
にもかかわらず,1年前の高速モデル (-N) は,
平均点が3点ちょうどという衝撃の結果でした。
今年の高速モデルは,明らかに改善が見られましたが,
結論は正しくとも説明が大きく乱れるケースが多く,
結局平均は6点ちょうどです。
本問の結果からも,
やはり一年前と大勢は変わらず,
と言えるのではないでしょうか。
次ページの内容
この再検証も,いよいよ最後の問いとなります。
問5は,正解が直感とは異なると感じる人も
多そうな問題だと思っています。
1年前の検証では,多くのAIがその直感に引きずられたようで,
大半のAIが10点満点中1点以下という惨状でした。
AIたちは,非常に苦手だったと思われる本問を,
この1年で克服できたのでしょうか。