【課題学習のテーマ】2つの合同な図形をどのように配置したとき,回転移動1回だけで重ねられるか

導入1 このテーマの概要

当サイトでは,次のような自由研究のテーマを
提案しました。

平行移動,回転移動,対称移動をくり返して
図形を移動する場合,
どのような位置への移動であっても,

合計  回以内の移動で必ず実現できる

のようなことが言えるのか。

このテーマについては,
学習者向けの記事分類【自由研究のテーマ】にて,
次の記事を公開しています。

関連記事

この関連記事で定義した次の用語や言い回しは,
本記事でもそのまま使用します。

  • 「2つの図形」
    平面上に配置された2つの合同な図形のみを
    想定します。
  • 「(2つの図形を)重ねる・重ね合わせる」
    2つの合同な図形のうち片方を移動して,
    もう片方にぴったり重ね合わせることを意味します。
  • 「裏返しの位置」
    2つの合同な図形を重ねるのに,
    平行移動や回転移動をくり返しても重ねられず,
    対称移動が必要になる位置関係です。
  • 「裏返し不要の位置」
    2つの合同な図形を重ね合わせるのに
    対称移動が不要であり,
    平行移動や回転移動をくり返せば重ねられる
    位置関係です。

この記事で考えるのは,裏返し不要の位置のみ

この記事で考えたいのは,
裏返し不要の位置にある2つの図形は,多くの場合,
回転移動1回で重ねられるのではないだろうか?
ということです。

平行移動のみで重ねられる位置関係ではなく,
かつ回転移動1回で重ねることもできない配置があるなら,
そのような配置を探してみたいということでもあります。

ともかく,この記事で考えるのは,
2つの図形が裏返し不要の位置にある
ケースのみです。

線分の重ね合わせについて考えれば十分

次の図の $\rm S$ と $\rm S’$ は合同な図形です。

図 1-1

この2つの図形は,「裏返し不要の位置」にあります。

つまり,対称移動を行わず,
平行移動や回転移動を何度か行えば
重ねられる位置関係にあります。

また,この2つの図形について,
点 $\rm A$ と点 $\rm A’$ ,点 $\rm B$ と点 $\rm B’$ は,
それぞれ対応しています。

すなわち,図形 $\rm S$ を移動して図形 $\rm S’$ にぴったり重ねると,
2点 $\rm A,\;B$ はそれぞれ $\rm A’,\;B’$ に重なります。

対応する2点を重ねれば,図形全体も重なる

この場合,対応する2点を重ねるような移動を行えば,
図形全体を重ねられることも分かるでしょう。

つまり,図形 $\rm S$ を平行移動や回転移動により移動して,
点 $\rm A$ が点 $\rm A’$ に,点 $\rm B$ が点 $\rm B’$ にそれぞれ重なるようにすれば,
図形 $\rm S$ 全体が図形 $\rm S’$ とぴったり重なります。

したがって,平行移動や回転移動のみで,
図形 $\rm S$ 全体を移動して図形 $\rm S’$ に重ねられるかを考えるには,
線分 $\rm AB$ を移動して線分 $\rm A’B’$ に重ねられるかを
考えれば十分ということになります。

ただし,対応する点どうしを重ねる必要がある

明らかなことですが,念のため指摘しておくと,
合同な図形の対応する点を無視して,
点 $\rm A$ が点 $\rm B’$ に,点 $\rm B$ が点 $\rm A’$ に
それぞれ重なるように移動した場合,
図形 $\rm S$ は図形 $\rm S’$ にぴったり重なりません。

ですから,本記事のテーマについて考察するために,
長さの等しい2線分 $\rm AB$,$\rm A’B’$ の重ね合わせを考える場合,
点の対応を意識して,
点 $\rm A$ が点 $\rm A’$ に,点 $\rm B$ が点 $\rm B’$ に重なるように
移動できるかを考える必要があります。

本記事独自の文章表現

本記事では,長さの等しい2つの線分
$\rm AB$,$\rm A’B’$ について,

  • 線分 $\rm AB$ を移動して,線分 $\rm A’B’$ に重ねる。
  • 移動により2線分 $\rm AB$,$\rm A’B’$ を重ねる。

のような表現をした場合,
点 $\rm A$ を点 $\rm A’$ に,点 $\rm B$ を点 $\rm B’$ に
それぞれ重ねるものとします。

単に「2つの線分を重ね合わせる」などと表現した場合も,
あらかじめ定められた点の対応に従って
重ね合わせることを意味するものとします。
(このテーマではそうでないと意味がない)

次ページの内容

本ページでは,次の問題を提起しました。

長さの等しい2つの線分は,
多くの場合,回転移動1回で重ねられると言えるのか。

平行移動では重ねられず,
かつ回転移動1回で重ねられない配置はあるのか。

あるとしたらどのような配置か。

次ページでは,この問題を解決する糸口について
説明します。

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