前ページまでのあらすじ
正多面体が5種類しかないことの
代数的な証明について考えています。
正$\;p\;$面体の1つの頂点に正$\;n\;$角形が$\;m\;$枚集まるとしたとき,
その正多面体の頂点の数は$\;\dfrac{np}{m}\;$,辺の数は$\;\dfrac{np}{2}\;$となります。
それらをオイラーの多面体定理に代入して整理すると,
次の等式が得られます。
$\,2mp+2np-mnp=4m\,$ …… ①
この等式を満たす$\;m\;$,$n\;$,$p\;$の値の組み合わせ
$(m,\;n,\;p)$ を求めたいのですが,
どうしたらよいでしょうか。
ヒント3(最終) 方程式に隠された情報
変数の値に生じている制約
等式①に対して,筆者が試した式変形は次の通りです。
$\,p(2m+2n-mn)=4m\,$ …… ②
左辺で共通因数$\;p\;$を括りだしただけです。
工夫も何もあったものではないですね。
こんな式変形だからこそ
筆者くらいの者にもできたと言えばそれまでですが。
しかしながら,このセンスの欠片もない式変形で
出てきた等式②は,重要な情報を含んでいるのです。
$2m+2n-mn$ は正の値でなければならない
前ページでも述べた通り,
ここで使用している文字の意味を考えると,
$\;m\;$,$n\;$,$p\;$は正の整数で,
しかも $m\geqq 3$,$n\geqq 3$ です。
それを念頭に,等式②を見ていきます。
まず,等式②の右辺は明らかに正の値です。
従って,当然ながら左辺も正の値になります。
一方,等式②の左辺は $p$ と $2m+2n-mn$ の積であり,
それが正の値になるわけですが,
$\,p\;$が正の値であることから,
$\,2m+2n-mn$ も正の値であることがわかります。
$\,m\;$と$\;n\;$は,あまり大きな値になれない
筆者はそれに気づいたとき,おやっと思いました。
$m$ や $n$ は,どちらも $3$ 以上の整数です。
従って,$2m$ や $2n$ よりは,$mn$ の値の方が大きいです。
そしてその差は,$m$ や $n$ の値が大きいほど大差になります。
にもかかわらず,$2m+2n-mn$ は正の値だと言うのです。
それは,$mn$ が $2m$ や $2n$ より圧倒的に大きければ,
起こりえないことです。
従って,$m$ と $n$ は
あまり大きな値になれないのではないかという推測が立つのです。
実際,試しに $m=10$,$n=10$ の場合を考えると,
$\,2m+2n-mn=-60$ です。
$\,0\;$よりだいぶ小さい負の値です。
つまり,$m=10$,$n=10$ くらいでも,
$\,m\;$,$n\;$の値は大きすぎて問題外であると考えられます。
ということで,$2m+2n-mn$ が正の値になるような
$\,3\;$以上の整数$\;m\;$,$n\;$の組み合わせを調べれば,
等式①や②を満たす $(m,\ n,\ p)$ の候補も
かなりの程度絞り込めることが期待できます。
次ページの内容
本記事のテーマに対する解答として,
正多面体が5種類しかないことの代数的な証明を示します。