前ページのあらすじ
高校数学Ⅱの【三角関数】で扱われる「半角の公式」は,
以下の3つがあります。
$\sin^2\dfrac{\theta}{2}=\dfrac{1-\cos\theta}{2}$ …… ①
$\cos^2\dfrac{\theta}{2}=\dfrac{1+\cos\theta}{2}$ …… ②
$\tan^2\dfrac{\theta}{2}=\dfrac{1-\cos\theta}{1+\cos\theta}$ …… ③
ある時,筆者は半角の公式を
図形的に導く方法を考えていたのですが,
その過程で,$\tan\dfrac{\theta}{2}$ について,
③とは別の形の等式が出てきました。
しかも,③よりシンプルで,
公式として使いやすそうな形でです。
それを公式として使っても問題ないのか,
深追いしてみたくなりました。
考えるきっかけ
このページでは,筆者が半角の公式を図形的に導こうと
思ったきっかけをお話ししていこうと思います。
典型的な問題例
筆者は,ものすごく久しぶりに,
次の問題を解きました。
半角の公式(①~③)を使う典型的な問題です。
もちろん,答えも全く記憶にない状態でした。
$\sin 22.5^\circ$,$\cos 22.5^\circ$,$\tan 22.5^\circ$ を求めなさい。
解答例1
公式②,③より,
\[
\begin{eqnarray*}
\sin^2 22.5^\circ&=&\dfrac{1-\cos 45^\circ}{2}\\[0.6em]
&=&\dfrac{1-\dfrac{\sqrt{2}}{2}}{2}\\[0.6em]
&=&\dfrac{2-\sqrt{2}}{4}
\end{eqnarray*}
\]
\[
\begin{eqnarray*}
\cos^2 22.5^\circ&=&\dfrac{1+\cos 45^\circ}{2}\\[0.6em]
&=&\dfrac{1+\dfrac{\sqrt{2}}{2}}{2}\\[0.6em]
&=&\dfrac{2+\sqrt{2}}{4}
\end{eqnarray*}
\]
$0^\circ<22.5^\circ<90^\circ$ であるから,$\sin 22.5^\circ>0$,$\cos 22.5^\circ>0$
よって,
$\sin 22.5^\circ=\sqrt{\dfrac{2-\sqrt{2}}{4}}=\dfrac{\sqrt{2-\sqrt{2}}}{2}$
$\cos 22.5^\circ=\sqrt{\dfrac{2+\sqrt{2}}{4}}=\dfrac{\sqrt{2+\sqrt{2}}}{2}$
また,
\[\begin{eqnarray*}
\tan 22.5^\circ&=&\dfrac{\sin 22.5^\circ}{\cos 22.5^\circ}\\[0.6em]
&=&\dfrac{\sqrt{2-\sqrt{2}}}{\sqrt{2+\sqrt{2}}}\\[0.6em]
&=&\sqrt{\dfrac{(2-\sqrt{2})^2}{(2+\sqrt{2})(2-\sqrt{2})}}\\[0.6em]
&=&\sqrt{\dfrac{(2-\sqrt{2})^2}{4-2}}\\[0.6em]
&=&\dfrac{2-\sqrt{2}}{\sqrt{2}}\\[0.6em]
&=&\dfrac{\sqrt{2}\,(\sqrt{2}-1)}{\sqrt{2}}\\[0.6em]
&=&\sqrt{2}-1
\end{eqnarray*}
\]
…おや?
この記事の主役であるはずの公式③が出てきませんでした。
いや,いきなり$\tan 22.5^\circ$を求めるのであれば
使ったんですけどね。
$\sin 22.5^\circ$ と $\cos 22.5^\circ$ の値がわかり,
それらから $\tan 22.5^\circ$ を求められる状況になったもので。
わざわざ$\tan^2 22.5^\circ$を求める公式を使う気に
なりにくかったのです。
使うとすれば次のようになります。
解答例2
公式③より,
\[
\begin{eqnarray*}
\tan^2 22.5^\circ&=&\dfrac{1-\cos 45^\circ}{1+\cos 45^\circ}\\[0.6em]
&=&\dfrac{1-\dfrac{\sqrt{2}}{2}}{1+\dfrac{\sqrt{2}}{2}}\\[0.6em]
&=&\dfrac{2-\sqrt{2}}{2+\sqrt{2}}\\[0.6em]
&=&\dfrac{(2-\sqrt{2})^2}{(2+\sqrt{2})(2-\sqrt{2})}\\[0.6em]
&=&\dfrac{(2-\sqrt{2})^2}{4-2}\\[0.6em]
&=&\dfrac{(2-\sqrt{2})^2}{2}\\[0.6em]
\end{eqnarray*}
\]
$0^\circ<22.5^\circ<90$ であるから,$\tan 22.5^\circ>0$
よって,
\[\begin{eqnarray*}
\tan 22.5^\circ&=&\sqrt{\dfrac{(2-\sqrt{2})^2}{2}}\\[0.6em]
&=& {\rm(解答例1と似た計算なので中略)}\\[0.4em]
&=&\sqrt{2}-1
\end{eqnarray*}
\]
$\;\sin 22.5^\circ$,$\cos 22.5^\circ$,$\tan 22.5^\circ\;$の値を見比べる
さて,この例題では,$\sin 22.5^\circ$,$\cos 22.5^\circ$,$\tan 22.5^\circ$ という
3つの値を求めました。
$\sin 22.5^\circ=\dfrac{\sqrt{2-\sqrt{2}}}{2}$
$\cos 22.5^\circ=\dfrac{\sqrt{2+\sqrt{2}}}{2}$
$\tan 22.5^\circ=\sqrt{2}-1 \vphantom{\sqrt{\dfrac{2+\sqrt{2}}{4}}}$
これらの値を見比べてみて,どう思いますか。
筆者は,次のような感想を持ちました。
上の例題は多くの教科書に載っているでしょうから,
実際に解いて同じ感想を持った高校生は,
少なくないのではないかと思います。
この時,筆者の頭には,次の疑問が引っかかりました。
この例題くらいなら,図形的に解決できそうな気も
ちなみに筆者は,この例題を解いている間に,
と思うようになっていました。
$22.5^\circ$ の三角比について考えるなら,
多くの人がまず次のような図を思い浮かべるでしょう。

しかし,この図には,$45^\circ$ の角が出てきません。
この図に手を加えて,$22.5^\circ$ の三角比と
$45^\circ$ の三角比の関係が
考えられるようにしたいのですが,
どのような図にするとよいと思いますか。
次ページの内容
筆者が思い浮かべた図を明らかにした上で,
その図を利用して $22.5^\circ$ の三角比を
求める方法を考えてみます。