【もやもや解決】負の数を分数で表す時の符号の位置に決まりはあるか

$\;\small\boldsymbol{-\dfrac{3}{4}}\;$を$\;\small\boldsymbol{\dfrac{-3}{4}}\;$と書いてはいけないか

学校教育では,$\small\boldsymbol{\dfrac{-3}{4}}\;$ではなく$\;\small\boldsymbol{-\dfrac{3}{4}}\;$と書くように教えられる

学校教育では,負の数を分数で表すとき,
$\dfrac{-3}{4}\;$のような表記ではなく,
$-\dfrac{3}{4}\;$の形で書くよう指導しています。ℹ️️

学校教育でそう教えるからには,理由があるはずです。
どのような理由なのでしょうか。

計算途中で$\;\small\boldsymbol{\dfrac{-3}{4}}\;$や$\;\small\boldsymbol{\dfrac{3}{-4}}\;$のようになっても, $\small\boldsymbol{-\dfrac{3}{4}}\;$に直した方が良い?

中1数学の正の数と負の数についての単元で,
計算問題を次のように解いたとします。

\begin{eqnarray*}
(1)\quad\dfrac{3^2+(-2)\times 6}{6-2}&=&\dfrac{9-12}{4}\\
&=&\dfrac{-3}{4}=-\dfrac{3}{4}\vphantom{\large{\dfrac{1}{1}}}
\end{eqnarray*}

\begin{eqnarray*}
(2)\quad\dfrac{-3^2+(-2)\times(-6)}{2-6}&=&\dfrac{-9+12}{-4}\\
&=&\dfrac{3}{-4}=-\dfrac{3}{4}\vphantom{\large{\dfrac{1}{1}}}
\end{eqnarray*}

計算の途中で,(1)では$\;\dfrac{-3}{4}\;$となり,
(2)では$\;\dfrac{3}{-4}\;$となっています。

そしてどちらも,そこからわざわざ$\;-\dfrac{3}{4}\;$に書き直しています。

この書き直しは必要なのでしょうか。

これが必要ないのであれば,$\dfrac{-3}{4}\;$または
$\dfrac{3}{-4}\;$となったところで計算をやめ,
その表記のまま答えとしたいと考えるのも自然でしょう。

結論としては,$\small\boldsymbol{-\dfrac{3}{4}}\;$と書いておいた方が良いと思われる

しかし,結論としては,
必ず$\;-\dfrac{3}{4}\;$と書くようにした方が良いと思います。

計算の途中で$\;\dfrac{-3}{4}\;$または$\;\dfrac{3}{-4}\;$となった場合も,
$-\dfrac{3}{4}\;$と書き直した方が良いでしょう。

その理由としては,
数の大きさは符号絶対値で決まるからです。ℹ️️

ですから,ある問題に対する答えとして,数値を書き表すときは,
できれば,符号と絶対値がよく分かるようにしたいのです。

その観点で$\;\dfrac{-3}{4}\;$と$\;-\dfrac{3}{4}\;$をかくすると,
明らかに$\;-\dfrac{3}{4}\;$の方がすぐれているでしょう。

$-\dfrac{3}{4}\;$と書けば,符号は負,絶対値は$\;\dfrac{3}{4}\;$であることが
はっきり伝わります。

それと比べると,$\dfrac{-3}{4}\;$の方は,
その数全体の符号や絶対値がぼやけた表記になっています。

$\dfrac{3}{-4}\;$はもっとひどいですね。

$\dfrac{-3}{4}\;$の方は,$-3\;$を$\;4\;$等分した数だと考えれば,
その数の符号や絶対値をイメージすることも
できそうな気がしますが,
$\dfrac{3}{-4}\;$は,「$\;3\;$を$\;-4\;$等分した数」ですからね。

その意味をすんなり理解できる人は少ないでしょう。ℹ️️

学校教育で,$-\dfrac{3}{4}\;$という表記が良いと教えているのは,
おそらく上記のような理由だと思います。

文字式でも$\;\small\boldsymbol{\dfrac{-x}{4}}\;$ではなく$\;\small\boldsymbol{-\dfrac{x}{4}}\;$と書くようにしよう

$-\dfrac{x}{4}\;$という式の値は,
負の数であるとは限りません。

$x\;$が負の数であれば,$-\dfrac{x}{4}\;$の値は正になります。

つまり,$-\dfrac{x}{4}\;$という式は,
符号が負,絶対値が$\;\dfrac{x}{4}\;$であることを
意味する表記ではありません。

ですから,上で説明したような意味では,
$-\dfrac{x}{4}\;$という表記は,$\dfrac{-x}{4}\;$という表記より
良いわけではないことになります。

しかし実際には,数学で$\;\dfrac{-x}{4}\;$の形が優先されることは
ほとんどなく,よほどの理由がない限り,
$-\dfrac{x}{4}\;$の表記が使われます。

その理由は筆者にもはっきり分かりませんが,

文字を含まないなら$\;\class{frac}{-\dfrac{3}{4}}\;$の形の方が良いが
文字を含むなら$\;\style{color: red;}{\dfrac{-x}{4}}\;$の形でもよい

などというルールにしたら,
混乱する人が続出するからではないでしょうか。

そのため,文字を含まない場合に合わせて,
$-\dfrac{x}{4}\;$という表記で
統一されているのではないかと思います。

ともかく,文字を含む分数の式であっても,
$\dfrac{-x}{4}\;$や$\;\dfrac{y}{-x}\;$などとはせず,
$-\dfrac{x}{4}\;$や$\;-\dfrac{y}{x}\;$の形で書くようにしましょう。

マークシート式の試験について(教育関係者向け)

マークシート式の試験では,$\small\boldsymbol{\dfrac{-3}{4}}$ のような表記を
採用することがある 

大学入学共通テストのようなマークシート式の試験では,
例えば「$\;-\dfrac{3}{4}\;$」という値が正答である場合に,
$\dfrac{\charblankT[アイ]}{\charblankT[ウ]}\;$という解答欄を割り当てて,
$\charblankT[アイ]\;$は$\;-3$,$\charblankT[ウ]\;$は$\;4\;$と答えさせることが多いようです。

つまり,大学入学共通テストは,
$\dfrac{-3}{4}\;$という表記を採用しているわけです。

しかし,同テストを実施している大学入試センターが,
この表記でも問題ないと考えているわけではないと思います。

分かっていない人の正答率を下げるための
措置だと思われる

試験というものは,分かっている人が確実に正答でき,
分かっていない人は確実に間違えるように作るのが
1つの理想です。

それは無理としても,分かっていない人の正答率が
なるべく下がるようにとの意識は必要でしょう。

その観点で考える場合,「$\;-\dfrac{3}{4}\;$」という正答に対し,
素直に$\;\charblankT[ア]\dfrac{\charblankT[イ]}{\charblankT[ウ]}\;$という解答欄を作ることは,
どのように評価されるでしょうか。

数学では基本的に帯分数を使いませんので,
まず$\;\charblankT[ア]\;$に入るものは,
負の符号である「$-$」しか考えられないと思います。

すなわち,この解答欄を見た受験者は,

答えは負の数で,その絶対値は,
分子,分母ともに1桁の自然数の分数で表せる

というところまで想像がつくでしょう。⚠️

これだと,問題の出し方によっては,
分かっていない人が正答できる確率が
上がってしまうとの判断で,
$\dfrac{\charblankT[アイ]}{\charblankT[ウ]}\;$という解答欄を採用しているのだろうと
考えています。

あくまで筆者の推測ですが,大学入試センターとしても,
$\dfrac{-3}{4}\;$という表記を採用すること自体は
デメリットだと考えているのではないでしょうか。

ただ,一長一短の状況で,
分かっていない人が正答できる確率が下がるという
メリットの方が大きいと判断しているのだと思います。


最後まで読んでいただきありがとうございます。
参考になれば幸いです。

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