- この記事は,2024年 9 月に執筆しました。
ページ内目次
概要:デジタルドリル業界の実態
学校教育で使われているデジタルドリル(AIドリル)には,粗悪品がある
この記事では,おそらく多くの人が
信じられないであろう話をします。
長い記事ですが,冒頭の概要部分(最初の章)は短いので,
ぜひ概要だけでもお付き合いください。
では,さっそく核心です。
今,学校教育(小中学校)で使われている
デジタルドリル(AIドリル) には,
かなり酷い粗悪品が混ざっています。
それも,無視できない割合でです。
デジタルドリルには,問題を解く機能のほかに,
学習支援機能や教務支援機能が
付いていることが多いようですが,
この記事で問題にしたいのはそれらではなく,
教材としての基本中の基本,
教科内容の記述の正確性や妥当性です。
すなわち,問題文や解説文,問題構成などに
誤りや矛盾,誤解を招く表現等の欠陥が無数に含まれる
デジタルドリル製品が,学校教育現場において,
ある程度のシェアを獲得しているということです。
これは,実際に制作会社で
デジタルドリルの問題解説の作成・確認作業に
従事した者としての意見です。
どの程度酷かったかと申しますと,
開いた口が塞がらないレベルと言えば
うまく伝わるでしょうか。
筆者が前述の制作会社に入社した時点で
既に製品自体は販売中だったのですが,
こんな欠陥だらけの代物を
堂々と売っている会社があるのかと,
信じられない思いでした。
あくまで個人の感覚ではありますが,
2社勤めて2社ともそんな感じだったので,
下手をすると,筆者が関わった製品だけが酷かったのではなく,
デジタルドリル業界全体の問題かもしれないとさえ
疑っています。
業界全体の問題ではないとしても,
そのような粗悪品が学校教育に
深く入り込んでいるのは事実ですので,
注意を喚起する必要を感じ,この記事を書いています。
まずは疑ってほしい
日本の学校教育で,劣悪な教材が広く使われている。
いきなりこんなことを言われても
信じられないかもしれませんが,
信じていただく必要はありません。
むしろ,疑っていただきたいのです。
世に出ているデジタルドリルの品質を。
そして,学校教育で広く使われている
デジタルドリルの教科内容が
信頼に足るものであるかどうかを,
一度しっかり調査していただきたいのです。
それが,この記事で日本の教育界に訴えたいことです。
(概要ここまで)改めて問題提起
GIGA スクール構想とデジタルドリル
ここから詳論です。
改めて,問題提起から入ります。
昔は,学校教育における学習方法は,
本とノートと筆記用具が基本でしたが,
最近はそれだけではなくなっていますね。
GIGA スクール構想なるものが提唱され,
IT機器とIT技術が実際に
学校教育に取り入れられるようになったことは,
多くの人がご存知でしょう。
その一環が,デジタルドリルです。
児童生徒がタブレット型パソコン等のIT機器上に問題を表示し,
それを解くことができるソフトウェアです。
中には,AI(人工知能)を使って
学習支援機能や教務支援機能を実現している製品もあり,
それらは「AIドリル」と呼ばれています。
この記事で問題にしたいのは,教材の基本
この記事で問題にしたいのは,
学習支援機能や教務支援機能ではなく,
より基本的な,教科内容の質です。
デジタルドリルは,この世に生み出されてから
決して短くない年月が経過していますが,
教科内容の記述の正確性・妥当性において,
未だに紙教材に遠く及ばないのではないかという
問題提起です。
最近はAI機能をアピールするデジタルドリルも多いようですが,
AI活用を追求する前に
教科内容の質を何とかしてほしいのです。
誰から見てどのように見える状態か
筆者のデジタルドリル制作に対する関与
筆者の略歴(明かせる分だけ)
デジタルドリルの現状をそこまでこき下ろすお主は何者だ,
という声が聞こえてきそうですね。
筆者は,これまで2社で,
デジタルドリルと呼んで差し支えない製品の
制作・編集に携わりました。
2社ともに,筆者が入社した時点で
自社製のデジタルドリルが存在し,
リリース済み・販売中の状態でした。
主に,小中高の算数数学の教科担当として,
問題や解説の執筆や内容確認の業務を行いました。
2社合わせて数年勤め,いずれも退職済みです。
決して零細ではない
具体的な社名や製品名はもちろん言えませんが,
2社とも零細ではないと思います。
また,少なくとも1社は「e-Learning アワード」で
いずれかの賞を受賞したことがあり,
2社合わせると,学校教育現場におけるシェアが
無視できない程度にはなる…ということだけ
明かしておきます。
少なくとも,一部の零細企業が酷い製品を出していただけ,
という話ではありません。
なぜ現在も酷いデジタルドリルが出回っていると思うのか
筆者がこれらの2社に勤めていたのは,
遠い過去ではありませんが,過去のことです。
ではなぜ筆者は,今も酷いデジタルドリルが
出回っていると思うのか。
その前に,直接携わったのであれば,
その間に改良しなかったのかと思われる方も
いらっしゃるかもしれません。
まずその疑問にお答えしましょう。
実際,2社のうち片方については,
ある程度の年月をかけて修正・改良を行えたので,
算数数学の部分の何割かについては
品質が改善されたと言えると思います。
ただ,時間が足りず改良できなかった部分も
多いということです。
そしてもう1社は,在職期間が短かったため,
修正・改良の機会がありませんでした。
もう1点,その2社が,
筆者の退職後に問題解説の内容等に全面的に手を加え,
十分に品質を高めている可能性は?
その可能性は,もちろん皆無とは言えませんが
低いと思います。
しかし,今も品質が改善されていないと
断言できるかどうかは重要ではありません。
筆者がこの記事で主張したいのは,
巷に出回っているデジタルドリルの品質は
疑ってかかるべきだということです。
あくまで筆者の感覚ですが,前述の通り,
過去のそう遠くない時期において,
筆者が在籍した会社のデジタルドリルの教科内容的な品質が
非常に低かったことは確認済みです。
ならば,今もそうである可能性は低くないと言えます。
加えて,粗悪なデジタルドリルを出している会社が
他にもある可能性もまた,低くないと言うべきでしょう。
以上をもって,広く使われているデジタルドリルの品質を
疑うべきだと主張するには十分だと考えているのです。
筆者が過度に厳しいわけではないと思う
文科省検定済みの教科書には特に不満なし
筆者が携わったデジタルドリルを酷評してきましたが,
筆者自身は,自分が過度に厳しいわけではないと思います。
事実,筆者は,文部科学省検定済みの算数数学の教科書には
それほど不満を感じません。
もっと工夫したいと感じる点はいくつかあるものの,
記述内容に違和感を覚える箇所は少ないです。
疑問を感じる記述も全然ないわけではないのですが,
大抵は,改善案を出すのが難しかったり,
やむなくそうしている理由が推察できたりと,
納得できる場合が多いのです。
この記事で単に「教科書」と記した場合,
文部科学省検定済み教科書を指します。
教科書以外の紙教材も優れたものが多いと認識
教科書以外にも,紙でできた教材,
すなわち参考書や問題集は多数ありますね。
筆者はそれらに詳しいわけではありませんが,
一利用者としてそれらの紙教材に触れる限りでは,
教科書ほどではないかもしれませんが,
十分しっかりしている印象があります。
よく使われていて定評のある紙製の参考書や問題集なら,
概ね信用してよいという認識です。
しかし,筆者が在籍した会社のデジタルドリルは酷かった
上記のように,筆者は,巷で流通している
紙製の教科書や参考書等の質は
概ね問題ないと判断しています。
その筆者から見て,自身が在籍した会社が出している
デジタルドリルの品質は唾棄すべきものであったと
言っているのです。
筆者の見方がよっぽど偏っているのか。
あるいは,確かにデジタルドリルの質は
紙教材に比べて低いけれども,
許容して然るべき程度なのか。
そのいずれでもなければ,日本の学校教育界は
前代未聞の危機に晒されていると言うべきではないでしょうか。
誤りや違和感の種類
筆者の在籍した会社のデジタルドリルは
酷かったという話をしてきましたが,
どのように酷いのかが気になる方も多いでしょう。
在職中の筆者は,デジタルドリルの算数数学の部分について,
既存の問題や解説を確認する作業にも従事したのですが,
その際に出会った欠陥の種類を列挙します。
算数数学教材の欠陥の種類(ごく一部)
- 単純ミスによる誤記やレイアウトの崩れ。
- 正しくない日本語や不自然な日本語が使われている。
- 揃えるべきものが揃えられていない。
- 問題構成に不備がある。
- 数学用語が誤った意味で使われている。
- 解説に記された解法・証明が正しくない。
- 解説が通り一遍で不親切。
- ヒントが的外れ。
- 実現しえない問題設定。
- 数学の感覚に合わない出題。
- 図が不正確。
- 予期せぬ別解。
- 未習事項を既知のものとして扱っている。
- 既存の問題を複製して類題を作る際,
直すべき点を直し忘れる。
ここに挙げた欠陥の種類はほんの一部です。
筆者が在職中に出会った欠陥の多種多様さは,
まだまだこんなものではありません。
率直な感想を言わせてもらうと,
こんな教材を使わされたら
たまったものではないです。
教材に欠陥が残っていれば,当然ながら,
学習の進行を妨げたり,学習者の気力を削いだり,
学習者の正常な感覚形成を阻害したりします。
教科書では,さすがに文科省の検定を通っているだけあり,
上に挙げたような欠陥はほとんど見られません。
紙製の参考書や問題集も,
定評を得ているものであれば,
十分にしっかりしている印象があります。
しかし,デジタルドリルはそうではありません。
初歩的ミスから専門性がなければ気づきにくい矛盾まで,
多種多様の欠陥が無数に混ぜ込まれた
粗悪品が広く使われています。
そう思っている編集経験者がいるという事実を
どうお感じになるでしょうか。
誤りや違和感の出現頻度
教材制作者といえども人間ですから,
たまに間違えるのは仕方ないと思います。
しかし,筆者の在籍した2社では,
「たまに」ではありませんでした。
種類も深刻度も様々でしたが,内容確認作業の中で,
3~4問に1問程度は,問題文や解説文の中で
看過できないレベルの誤りや違和感に出会う
という感覚でした。
1問の中に深刻な突っ込みどころがいくつもある,
なんてのも珍しくありませんでした。
要するに,「素人が問題文と解説文を書いたのだな」と
分かってしまう問題が,次から次へと出てくるのです。
また,数学的に難しく
専門家でなければ見つけられないと思われる
欠陥ばかりではありませんでした。
「嘘でしょ,これ見逃すの?」と思うものにも
星の数ほど出会いました。
そのような教材と呼べるかも怪しい代物が,
学校や家庭学習の場において
何食わぬ顔で使われていると思うと,
今思い出しても沸々と煮えくり返ってきます。
下手すると業界全体の問題かも
全てのデジタルドリルが粗悪品だと言う気はないが
筆者が実状を知っているのは,
自身が在籍した2社の製品についてのみです。
他社製品については分かりませんので,
その中にはもしかしたら,
教科内容のしっかりしたデジタルドリル製品も
あるのかもしれません。
もしそうなら,優良製品と粗悪品が
混在することがよく認識されず,
しばしば粗悪品が選ばれていることになり,
それはそれでまずい状況です。
しかし私は,現状はもっと酷い可能性があると
思っています。
すなわち,デジタルドリルは,教科内容の質において,
紙製の教科書,参考書,問題集に比べて
全体的に大きく劣るという可能性です。
詳しくは少し後で述べますが,
デジタルドリルは粗悪品になりやすく,
かつリリース後も改善が施されにくいのではないかと
疑っています。
もし,その仮説が正しく,
筆者の関わった製品ほどではなくとも
デジタルドリルが不良品ばかりで,
大半の学校でそれらが利用されているのなら,
業界全体の問題ということになります。
もちろんそこまでは断言できませんが,
実際に粗悪品が無視できない割合で
学校現場に受け入れられているのは確かですから,
業界全体に対して警戒するのは当然です。
デジタルドリルを先進機能で選ぶ時代はまだ来ていない
現在,学校や学習塾,各家庭に出回っている
デジタルドリルのうち,
どれだけがどれほどの粗悪品なのかは,
筆者には分かりません。
しかし,少なくとも次のことは
断言してよいと思います。
業界側の視点
自社のデジタルドリルが教科内容の質において
平均的な紙教材に比べてはるかに劣る会社は,
先進機能ではなく教科内容を磨くのが,
商業的にはともかく道義的には正道です。
劣悪な教科内容を先進機能の向上で
ごまかそうとしてはいけません。
一方,自社のデジタルドリルは
名のある紙教材にも劣らないほど
教科内容を洗練したとの自負がある会社は,
少なくとも一部のライバルよりは優れているはずです。
もちろんその場合は,
先進機能に磨きをかけるのも大いに結構ですが,
売り込みに際しては,自社製品の教科内容について
質の良さをアピールすることで,
ライバルより優位に立てるでしょう。
特に,学校教育向けのデジタルドリルを出していて,
教科内容の記述の質に自信がある会社は,
ドリルの公募を実施する教育委員会に対し,
一部のデジタルドリルは
教科内容の記述が酷いという噂もあるので,
一度しっかり精査して比較検討してほしい
とけしかけてみてはいかがでしょうか。
ともかく,デジタルドリル業界は,
今はまだ教科内容で競う段階です。
各社のデジタルドリルの
教科内容の質が高いレベルで揃い,
先進機能で競うのが妥当と言える段階は
まだまだ先なのではないでしょうか。
利用者側の視点
現在のデジタルドリル業界は,利用する製品を
AIなどの先進機能で選べるほど,
教科内容の質において良品揃いではありません。
レイアウトや操作性の良さや,
何やら凄そうなAI機能などに惑わされないでください。
学習教材は,教科内容がしっかりしていることが第一です。
教科内容的に粗悪な教材は,
学習の進行や学力向上,
学習者の健全な感覚形成を妨げます。
デジタルドリルを選ぶ際,
先進機能の優劣を最終的な決め手にするとしても,
教科内容的な粗悪品を排除してから選ぶべきであると
強く主張したいと思います。
実際には,教科内容を精査してから
教材を選択するのは難しいケースが多そうですが,
意識はしておくのが望ましいでしょう。
正直なところ,現時点では,
デジタルドリルの教科内容がしっかりしていると
何らかの根拠をもって確信できない限り,
デジタルドリルを避けて書籍タイプの問題集を
選んだ方が無難かもしれません。
デジタルドリルが粗悪品になりがちな理由(仮説)
筆者の立場なら,疑念を持つのは当然
2社のデジタルドリル制作に関与して
2社とも酷かった筆者にしてみれば,
…との疑念を抱くようになったのは
ごく自然だと言えるでしょう。
その疑念について自問自答を繰り返すうちに,
デジタルドリルが粗悪品になってしまいがちな理由は
確かにありそうだという方向で考えがまとまってきました。
これから示すのは仮説にすぎませんが,
個人的にはまずまず確信を持てる推論になったかと思うので,
よければお付き合いください。
本来は巨額の初期投資が必要
デジタルドリル制作には,大量の良質な人手を要します。
おそらく,他分野のシステム開発に比べても,
相当人手がかかる部類だと思います。
指導要領の内容を網羅した問題・解説データを
作る必要があるからです。
良質の問題・解説データを
全学年・全分野について用意するなら,言うまでもなく,
教科教育の専門家や有識者が多数必要になります。
全教科についてそれぞれ優秀な人材を集めた上で,
1問1問に意図を持たせ,
模範的な日本語のみを使って,
矛盾がなく誤解を生まない問題解説を記述し,
教科書との整合性を逐一確認しながら
学習効果の高いコンテンツを組み上げていく。
起業直後にそのような理想をどこまで実現するかはともかく,
システム開発時点でこれほど大規模に
人力による丹念なデータ作成が求められる分野は
そうそうないのではないかと思います。
その考えが正しければ,
最初からまともな品質及び網羅性を持つデジタルドリルを作って
デジタルドリル業界に参入する場合,
他分野とは比べものにならないほど
巨額の初期投資が必要になるはずです。
このことは,おそらく社会に
はっきり認識されていないでしょう。
デジタルドリル業界に参入しようとする会社に対して
お金を貸す金融機関にも,
そのような認識はまずありません。
それゆえ,多額の融資を求められたら渋ります。
なぜそんなに多額の融資が必要なのか
理解できないからです。
デジタルドリル業界参入のためにお金を借りる側も,
巨額の融資依頼は渋られることが分かっているため,
少ししかお金を借りようとしないでしょう。
そこに最初の落とし穴がある気がします。
紙教材の電子化は著作権料が重い
デジタルドリル制作には非常に人手がかかる。
その認識が世間に浸透していないのは,
仕方のない面もあります。
現代の日本には紙教材が多数存在するのだから,
それを電子化すればよいではないか,
と考える人が多いと思われるからです。
個人的には,その考えには大賛成です。
実際,日本には,書籍タイプの
優れた参考書や問題集が山ほどあります。
つまり,優れた問題や解説が,
既に山ほどあるということです。
それらを活用せず,全ての問題を一から作成し,
問題文や解説文を執筆しようとするのは,
社会にとって無駄でしかないと思います。
もっとも,書籍の電子化だけでも楽ではありませんし,
その方針なら制作スタッフが教科に詳しくなくても
大丈夫なわけでは全くないのですが,
一から作る場合と比べれば,
工数を大きく削減できるのは確かです。
しかし,何も持たずにデジタルドリル業界に
新規参入しようとする起業家にとって,
紙教材を電子化する方針を採用するのは
意外に難しいと思われます。
既に紙教材を持っている会社なら
それを電子化すればよいのですが,
そうでない会社は,他社から権利を買う必要があります。
駆け出しの会社には,多くの場合,
そんなお金はありません。
それに,自らの紙教材にプライドを持っている会社は,
そう簡単に駆け出しの会社に権利を売ったりしないでしょう。
従って,最低限の資金で会社を作って
デジタルドリル業界に参入する場合,
自分の手で問題解説を作ろうとしてしまうのです。
作問作業は常識人なら何とかなるという錯覚
最低限の資金で会社を興した場合,
自分の手でできることは自分でしようとするでしょう。
例えば,デジタルドリル開発には,外注しないのであれば,
自社内にシステム開発部門が必要になります。
システム開発は専門技術が必要で,
素人には無理だと多くの人が理解しているでしょう。
従って,ある程度お金をかけてでも
システム技術者を集めることになります。
一部については高度な技術者を高給で採用することも,
必要経費だと認識しやすいと思います。
では,作問作業についてはどうでしょうか?
社会人は大抵,高校や大学を卒業しています。
つまり,小中高の教科内容をひと通り学んできています。
システム開発は門外漢なら完全に素人ですが,
学校教育に詳しい人でなくとも,
教科内容について完全に無知というわけではありません。
それなら,そこまで詳しい人を集めなくても,
教科内容に基づいた作問作業はできるのでは?
高校の内容となると厳しいかもしれないが,
小中学校の教材制作なら何とかなるのでは?
最低限の資金で会社を興した場合でも,
システム開発部門にはかなり投資しなければなりません。
そこでお金を使った分,
教科内容の編集部門に対する投資を
節約したくなってしまうのでしょう。
かつ,上に述べたような理屈で,
その節約が可能であるかのように錯覚してしまうのです。
だから,次のようにして,
教科内容の記述や校閲を専門外の人に任せるという
過ちを犯すのだと思います。
教科の専門性を軽視する起業家ばかりではないが
作問作業は常識人なら何とかなる,
と甘く見る起業家ばかりではないでしょう。
優れた教材を作るなら,各教科の教育に関する
専門家や有識者を多数集めることは必須だと,
正しく認識する起業家も多いと思います。
しかし,それが認識できる賢明な起業家は,
巨額の初期投資ができる状況でもなければ,
教科の専門家を高給で揃えるだけの資金はないから
デジタルドリル業界への参入は無理だと判断しそうです。
それゆえ,最小限の資金で同業界に参入しようとするのは,
教科の専門性を軽視する起業家が
多くなってしまうのではないでしょうか。
最初は低品質のままリリースせざるをえない
デジタルドリル業界への参入を試みる会社は,
手持ちの資金が無くなる前にデジタルドリルを売り出し,
経営を黒字化しなければなりません。
だから,品質はともかくリリースすることが
最優先になります。
外面を整えて,最小限の中身で,にもかかわらず
いかにも立派な教材であるように見せかけて
販売することになるでしょう。
そのような会社ばかりではないと思いたいところですが,
そのような会社でなければ生き残るのが難しいという
現実もあります。
また,前述のように,
教科や教育の専門家を高給で雇う余裕もないため,
教科内容の記述は素人の仕事になりがちです。
従って,何もないところからこの業界に新規参入する場合,
専門外の人がスピード重視で作った教材を,
あたかも専門家が丹精込めて作ったかのように売ることに
なってしまいます。
真に優れた教材は少数派となり,
粗悪品どうしのアピール合戦に勝利した会社が生き残るのです。
経営が安定しても,教科内容の改善には手が伸びにくい
対外的にアピールしやすい先進機能の開発が優先される
では,消費者を半ば欺きながらも
経営を安定させることに成功すれば,
その後は教科内容の洗練に力を入れられるのでしょうか。
それもおそらく否です。
他社との経営戦争は続きます。
その戦争に勝つために,顧客にアピールしやすい先進機能を
付けたいという誘惑に駆られるからです。
現在で言えば,AI搭載ですね。
少し前なら手書き解答欄などもそうでしょう。
そういった先進機能が,
粗悪な教科内容の教材をベースにして作られていきます。
砂上の楼閣にしかならないのは明らかですが,
会社が生き残るために,
先進機能の開発・改良を優先せざるをえないのです。
教科内容の改善は,商業的なアピールにならない
既に売り出している教材は,当然ながら,
教科の専門家たちが丹精込めて作ったという体で
売っています。
よって,実際に自社教材の教科内容を洗練させたとしても,
今まで粗悪だった教科内容を洗練させましたなどとは
口が裂けても言えません。
また,真実をオブラートに包んで,
既に良かったものをさらに良くしましたと言っても,
それを聞いて購買意欲が増す人は
ほとんどいないでしょう。
いずれにしても,教科内容の記述の改善をアピールするのは,
経営的にはいまいちな方針ということに
なってしまいます。
問題数増加はアピールになるが,粗悪な問題解説が増えるだけ
デジタルドリルの教科内容に手を入れるにしても,
やはりアピールしやすい形での改変になりがちです。
例えば,問題数の増加は,
売り込みの際にアピールになります。
そのために,既存の粗悪な問題解説をコピーして改変し,
類題を作ることで問題数を増やすわけです。
すると,そのデジタルドリルの中で,
粗悪な問題解説の数が増えることになります。
問題数が増えれば,教科内容の全体的な改善は,
ますます工数がかさむようになるため,
以前にも増して望みにくくなります。
大規模で粗悪なデジタルドリルの生まれ方
以上をまとめますと,次のような道筋をたどって,
大規模で粗悪なデジタルドリルが
出来上がってしまうのだと筆者は考えています。
大体こんなところでしょうかね。
さすがにこれは最悪のケースですが,
筆者にこのような推測をさせる会社はあったと
お考えください。
デジタルドリルを選ぶ側にも原因がある
粗悪品はすぐに淘汰されるのでは?
利用者に厳しい監視の目があれば淘汰できるが
ここまで,とてつもなく粗悪なデジタルドリルが
学校教育でそれなりに広く使われていると
警告してきました。
疑問に思う方もいらっしゃるかもしれませんね。
それほど酷い粗悪品が市場で通用するのかと。
筆者は市場原理に詳しくありませんが,
市場から粗悪品が正しく淘汰されるとしたら,
それは利用者の厳しい目が光っているからでしょう。
新しく発売された斬新な飲料水だが,
不味くて飲めたものではない。
そのような商品は,インターネットで悪評が広まって,
すぐに販売中止になるに違いありません。
しかし,デジタルドリルについては
同様のメカニズムがうまく機能していないようです。
家庭学習用のデジタルドリルは,粗悪品が見逃されやすい
家庭学習用のデジタルドリルの場合,
それが粗悪品であっても通用してしまう理由は,
ある程度想像がつきます。
販売相手の家庭に教科の専門家がいない限り,
教科内容の拙さがばれにくいからです。
保護者が教科の専門家であっても,
デジタルドリルの使用者は主に児童生徒なので
やはり気づかれにくいとも言えます。
(それは学校教育用でも同じ)
特に,家庭の場では,
保護者が子供のアカウントで下手に触ると
子供の学習履歴が崩れてしまうので
触りにくいという事情もあるでしょう。
学校や塾でも,粗悪なデジタルドリルが
生き残る可能性は意外にある
では,学校や学習塾向けのデジタルドリルならどうなのか。
これも案外,粗悪品が通用する可能性が残るようです。
実際,私が在籍した会社のデジタルドリルは,
少なくとも在職中は通用していました。
あれほど酷い内容だったにもかかわらずです。
教科の専門家が多数いるであろう学校や学習塾相手に,
なぜ粗悪品が通用するのでしょうか。
それは,デジタルドリルを選定する側の教育委員会や学習塾が,
採用候補となる教材の教科内容の正確性・妥当性を
ろくに審査していないからでしょう。
教科内容を精査せずに教材を選ぶのは,むしろ普通
教育委員会や学習塾が,教科内容の質を精査せず
デジタルドリルを選んでいるなんて
信じられないと思われますか?
しかし,教材利用者の行動としては,
むしろ普通だと思います。
多くの人は,(紙教材を含めれば)
何らかの学習教材を選んで使ったことがあるでしょう。
そこで質問です。
学習教材を選ぶ際に,教科内容を精査されました?
次のような教材制作の基本がしっかり守られているかを,
相当数の問題と解説について
一言一句細かく検証してから教材を選びましたか?
教材制作の基本(算数数学・一部)
- しっかりした日本語が使われているか
- 問題文や解説文が正しく書けているか
- 丁寧に作成された精確・適切な図が示されているか
- 解説に示された解法,式変形,証明などが妥当か
- 算数数学の記号や用語が正しく使われているか
- 当該学年の範囲を超えた出題がないか
- 未習事項を既知のものとして扱っていないか
してないですよね。
してない人がほとんどだと思います。
それはまあ当然です。
よく使われている教材ならば,
各教科の専門家による監修のもと,
じっくり手間暇をかけて作られているに違いないと
思いますもんね。
実際,文科省検定済み教科書をはじめとして,
定評を得ている紙教材の多くはそうだと思います。
しかし,デジタルドリルについては
そうではないということです。
それが教育委員会や学習塾の盲点となり,
粗悪なデジタルドリルが粗悪だと認識されないまま
使われているのでしょう。
教育委員会でさえ,デジタルドリルの
教科内容の質を見ていない
デジタルドリルの品質を信用しすぎ
デジタルドリルの制作に携わって知ったことですが,
各自治体の学校現場が使うデジタルドリルは,
基本的に,その自治体の教育委員会が選定するようです。
そこでしっかり教科内容の質を審査すれば,
粗悪なデジタルドリルを排除できそうに思えます。
しかし,デジタルドリルの選定において,
教科内容の質は重要な評価項目に
なっていないようなのです。
少しややこしくて恐縮ですが,
教育委員会は,デジタルドリルの教科内容の質自体を
軽視しているわけではないと思います。
つまり,ドリル内で表示される
学習事項の説明や問題文・解説文は
しっかりしたものでなければならないとの認識は,
教育委員会にもあるはずです。
にもかかわらず,デジタルドリル選定の際の
評価基準としては軽視されているということです。
それは,筆者の推測ですが,教育委員会が
デジタルドリルの質を信用しすぎているからなのでしょう。
いい加減に作った教材を世に出す会社なんて
そうそうないであろうと。
そこそこ広く使われている教材なのだから,
教科内容が疎かになっているはずがないと。
もし本当に,どのデジタルドリルにおいても
教科内容の記述がしっかりしているなら,
記述の正確性・妥当性の観点で比較しても,
大して差がつかないと思われます。
教育委員会は,実態もそうであると信じているため,
記述の正確性・妥当性は,審査しても
製品間で差がつかない部分だとの先入観が強く,
評価基準としては重視されないのだと思います。
デジタルドリル公募における評価基準
インターネットで,「デジタルドリル 公募」などとして検索すると,
一部の自治体についてですが,
デジタルドリル公募の評価基準を見ることができます。
その評価基準をいくつか確認した限りでは,
教科内容の正確かつ妥当な記述を重視する自治体は
見当たりませんでした。
各自治体がデジタルドリルに求める機能や性質を,
軽く挙げてみます。
デジタルドリルの評価基準(一部)
- 個別最適な学びの支援機能が充実していること。
- 教員が,各学習者の学習進度や解答履歴を
分かりやすく把握できること。 - 単元の確認テストが行えること。
- 家庭学習にも使えること。
- 操作性が高く便利であること。
- 問題数が多く,内容や出題方式が適切であること。
- 教科書に準拠した構成・内容であること。
- 制作会社によるサポートが手厚いこと。
筆者が確認した限りでは,
教科内容より機能面の項目が多いように映りました。
中には,配点を公表している評価基準もありましたが,
問題数,教科内容,出題方式等を合わせて,
全体に対する配点が1割とかだったりします。
つまり,教科内容の配点は,
わずか1割のさらに一部に過ぎません。
しかも,評価項目として教科内容を見る場合でも,
視覚的で分かりやすい解説,興味を惹く話題など,
より良い教材にするための工夫を
比較・審査することが主眼のようです。
評価基準をどれだけ読んでも,
誤りや矛盾の少ないまともな教材であること
という要素は一切見当たりません。
このことからも,教育委員会が,
教科内容の記述がまともかどうか,
学習者の知識や感覚を正しく育む教材かという観点で
デジタルドリルを見ていないことが推察されます。
どの制作会社もそのような最低条件は当然満たしてから
公募に応じているに違いないと,
信じ切っているのでしょう。
きっと,そこが落とし穴になっているのですね。
実際には,デジタルドリル公募の場に,
粗悪品を出してきている会社があります。
そのことが認識できていないから,
教科内容の記述に無数の欠陥を含む
デジタルドリルの存在に気づくことができず,
「AI機能が素晴らしい」のような理由で
粗悪品を採用してしまうのです。
検定済み教科書と同じ感覚で選んでいるのかも
教育委員会と言えば,各自治体の学校で使用される
教科書の採択も行いますね。
文部科学省の検定済み教科書の採択です。
教科書の採択では,教材としての欠陥が少ない教科書を
選ぼうという観点は,基本的に必要ありません。
なぜなら,候補となる教科書は,
文部科学省の検定を通っているだけあって,
教科内容の記述の正確性・妥当性が
しっかり確保されているからです。
そのような採択候補の中から選ぶのですから,
いずれの教科書も欠陥が少ないことは
無条件で信用しても問題ありません。
学習効果の高さ,学習及び指導のしやすさ,
学習意欲が維持されやすい内容・構成かなどに注目して
使用する教科書を選べばよいと思います。
しかし,そこで1つの疑いが浮上します。
教育委員会は,デジタルドリルについても,
教科書と同じ感覚で選んでしまっているのではないか,
という疑いです。
デジタルドリルは,教科書検定のような審査を通っていません。
制作した会社が,うちの製品はしっかりしていますよと
主張しているだけです。
そして,既に見たように,
デジタルドリルは紙教材に比べて,
教材内の教科内容の質が低くなりがちである上に,
改善が施されにくい傾向があると思われます。
おそらく教育委員会も,その傾向を見落として,
デジタルドリルも文科省検定済み教科書や
定評を得ている紙教材と同じように,
教科の専門家の手によって丁寧に作られていると
思い込んでいるのでしょう。
学校教育の場で粗悪なデジタルドリルが
まかり通ってしまっているのは,
そのような理由であると考えて間違いないと思います。
解決策
悪いのは制作サイドだけではない
デジタルドリルの教科内容の質が悪いのは,
制作する側だけの責任ではありません。
利用するデジタルドリルを選ぶ側にも責任が…
とまでは言いませんが,少なくとも原因はあります。
選ぶ側がデジタルドリルの教科内容の質を
しっかり精査しないから,
とんでもない粗悪品が学校教育や学習塾などの現場に
無視できない割合で蔓延るのです。
デジタルドリルの質は疑ってかかるべし
重度の粗悪品がまぎれ込んでいる可能性も十分ある
デジタルドリル業界が,粗悪品が出回る現状を抜け出すには
どうしたらよいか。
その答えは簡単です。
教育委員会や学習塾などのデジタルドリルを選ぶ側が,
そこに含まれる教科内容の記述の質を
疑ってかかればよいのです。
おそらく製品によって質はまちまちですが,
主だった製品についてしっかり調査すれば,
定評を得ている紙教材では考えられないほど劣悪な記述が
多々見つかるのではないでしょうか。
いっそのこと,デジタルドリルにも
教科書と同様の検定制度を導入しては?
ただ,家庭学習用のデジタルドリルの場合は,
利用者側が教科内容の質を疑ったとしても,
その質を精査するのはハードルが高いと思います。
利用するデジタルドリルを選定する保護者のほとんどは
教科の専門家ではないからです。
しかし,学校教育用のデジタルドリルについては
可能でしょう。
各自治体の学校で利用する
デジタルドリルの選定者は教育委員会ですから,
各教科の専門家を集めるのは容易いはずです。
そして,デジタルドリル選定の際の評価基準において,
教科内容の正確性・妥当性に高い配点を与えた上で,
各教科の専門家にじっくり審査させればよいと思います。
ただ,教科内容の質の精査を
各自治体で行うのは非効率かもしれません。
その非効率さが気になるなら,複数の自治体の連名で,
教育系の専門性を持つ機関に
本格的な審査を依頼するのも一案です。
あるいは,いっそのこと,
文部科学省が教科書検定と同じ要領で
デジタルドリルの検定を行ってもよいと思います。
教科書の検定よりデジタルドリルの検定の方が
色々と大変であろうことは,容易に想像がつきます。
しかし,大変だからしない,
制作会社の自助努力に任せるという姿勢では,
粗悪なデジタルドリルがのさばる現状を
変えられません。
完璧な検定ではなくとも,
現実的な手間で一定の効果が得られる手法を編み出し,
実施するのが望ましいと思います。
選定する側が教科内容の質に目を光らせれば,
制作する側も教科内容の質にこだわるはず
教育委員会や文部科学省,あるいは学習塾などが
デジタルドリルの教科内容の質にこだわれば,
その質が低く,かつ改善しようとしない
デジタルドリルは業界から叩き出されます。
そのような環境になれば,デジタルドリル制作各社も,
教科内容の質を高いレベルで確保しようとするでしょう。
制作各社の良心に期待しているだけでは,
粗悪品がまかり通る現状は変わりません。
デジタルドリルを選定する側が
教科内容に対して厳しい目を持ってこそ,
シェアの拡大や生き残りを優先する制作各社にとっても,
教科内容の質の向上が商業的に重要事項になるのです。
デジタルドリル業界の現状を打開する道は
そこにあると確信しています。
デジタルドリル業界への新規参入の
ハードルの高さを認識すること
もう1つ有効な手立てを挙げるなら,
社会全体に次の認識を浸透させることでしょうか。
ただ,この観点は,当記事の主題から
少しずれる気がするので,折りたたみにしておきます。
まとめ
まずはデジタルドリルの質を疑ってほしい
この記事で最も訴えたいことを3行でまとめると,
次のようになります。
この1点だけしっかり伝われば,
この記事を書いた目的は果たせたと言えます。
なお,全体を手軽に振り返りたい方のために,
この記事で述べたことを箇条書きしておきます。
(長いので折りたたみ)
筆者は自分なりの確信を持って
上記のように主張するのですが,
あくまで一個人の意見です。
ここまで読んでくださった読者の方は,
おそらく半信半疑だと思います。
でもそれで構いません。
まずは,疑っていただくことが何より大事です。
既に見たように,デジタルドリルは,紙教材に比べて,
放っておくと粗悪品が市場に出回りがちなタイプの
製品だと思われます。
しかし,多くの人がその品質を疑うようになれば,
粗悪品は市場に存在しにくくなります。
例えば,学校教育で使用するデジタルドリルを選定する
各自治体の教育委員会も,対策を考えるはずです。
そうなれば,きっと制作各社も,
教科内容的な品質の向上に
時間やお金を投入するようになるに違いありません。
筆者はデジタル教材に期待している
最後に断っておきたいのですが,
筆者はデジタルドリル否定派ではありません。
デジタルドリルを含むデジタル教材には
大いに期待を寄せている方です。
過大な役割や効用を期待せずうまく利用すれば,
個別最適な学習の一助になることは
十分に可能だと思います。
しかしそれは,当然ながら,
優良な製品であればの話です。
筆者が制作に関与し,失望させられたような
粗悪品を使うくらいなら,
従来通り紙教材を使った方がよほどましでしょう。
技術的には可能なはずのことができていない
現状でも,教育を革新できるほどのデジタル教材を
生み出せるほどの技術的環境は整っています。
いや,教科内容的にしっかりしたデジタル教材を作るだけなら,
AIなどは関係なく,
ひと昔前の技術でも十分に可能だったと思われます。
だとすると,今頃は,次のような優れた教育環境を
実現できていてもおかしくないはずなのです。
- 学校教育の現場で使われているどのデジタルドリルも,
教科書や名のある紙教材にも劣らないほど
教科内容がしっかりしている。 - 安定した教科内容と便利なデジタル機能を有する
デジタルドリルを使用することで,
多くの子供たちが楽しく効率的に学力を伸ばしている。
しかし,現実はその方向に進んでいません。
粗悪なデジタルドリルが
無視できない割合で学校教育現場に入り込み,
多くの子供たちが,粗悪な教科内容による弊害を
受けていることが危惧される状況です。
優れたデジタルドリルを
作っている会社もあるのかもしれませんが,
現在のデジタル教材界の全体を評するなら,
技術的には可能なはずのことができていないと
言わざるをえないでしょう。
そのような現状をもどかしく思い,
変化を促すために書いたのがこの記事です。
多くの方がデジタル教材の質に疑いの目を向け,
厳しく検証する意識を持てば,
少なくとも教科内容的な品質は向上します。
そこからさらに機能面で進化を遂げて
紙教材を完全に上回れるかは別の話ですが,
その前段階として必要な一歩です。
日本がデジタル教材により教育革新を成し遂げることは,
優秀な人材を多数集めて
膨大な工数を惜しみなく投入すれば
可能ではあります。
ただ,巨額の予算が必要であること,
市場原理に任せては採算性が不十分かもしれないことなど,
金銭面の制約が立ちはだかって実現していないだけです。
それらの制約を乗り越えて,
現在は迷走しているように見える
デジタル教材界が正常な道に戻り,
教育革新に向けて進み出すことを期待しています。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
参考になれば幸いです。